深野神楽保存会のブログ

雲南市吉田町深野なある深野神楽保存会長のブログ。昭和61年に70年前に途絶えた深野神楽を有志により復活。子ども教室の指導で後継者育成にも力を入れている。

「芸能開闢古事記」中止

2月24日(月)の県民会館の稽古で手応えを感じた2日後の26日(水)。
夕方から、次々に神楽共演会の中止の連絡が入ってきました。
どうなってるの?と。
嫌な予感がしてなりませんでした。
中止にならないよね、と不安な気持ちを抱えて悶々とした夜をみんなが過ごしました。

あくる日、県民会館から連絡が入るらないかとびくびくしながら過ごします。
周りから「中止でしょ?」とか言われます。
「中止じゃないです‼️」って言い切りました。
しかし、無情にも夕方のテレビの放送で、首相の小中高の休校の要請が流れました。
「まじかー、もうダメだ」と覚悟をきめます。
そして、県民会館からの連絡。
「きた・・・。」
「残念ですが中止になりました。」
やはり。
脱力。
ギリギリまで頑張ってくれた県民会館に感謝の思いでした。
安田先生は「芸能開闢古事記」があると信じての稽古中で連絡がつかないとの事でした。
神楽のメンバーに中止の連絡をしました。
ここまで頑張ってきて、直前の中止は、さすがにメンバーの心にも突き刺さりました。
LINEで色々やり取り。
眠れぬ夜をみんなが過ごしました。
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28日(金)の朝、何だか夢を見てるようでした。
本番のステージを夢見て練習してきたのに、本番がない。
夢じゃないよね。
安田先生から連絡がはいりました。
昨夜、稽古中に中止の連絡が入り、どうしても納得できないメンバーと一緒に島根に向かっていると。
何だか、皆さんと会わなければいけない気持ちになりました。
神楽のメンバーは、土曜日に集まり残念会をする話をすると、安田先生から深野に行くから神楽と合わせないか?と。
このまま終わってしまうのは寂しい思いだったので、神楽のメンバーにその事を伝えたけど、県民会館でやるから意味があって、深野でやっても悔しい想いが募るだけたと。
その思いを県民会館のスタッフがくんでくれて、土曜日に県民会館のステージで合わせないかと言ってもらいました。
公演も、中止ではなく延期の方向だと。
延期に向かっての練習と言うことで、神楽のメンバーも気持ちが明るくなりました。
その稽古のために、大きな立派な榊をとってきたメンバーのタカさん「シデもちゃんと作ってよ」「はい。😁」
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2月29日(土)。
本当だったら、朝からリハーサルで県民会館へいく日。
中止になったけど、延期に向けて、そして東京から来ておられる能楽師のメンバーとの合わせに心なしか緊張気味のメンバーでした。
県民会館につくと、能楽師さんの楽屋には、衣装が並べられていました。
中止なのに持ってこられるのは凄いなと思いました。
実は昨日は、県民会館の粋な計らいで第一部の稽古を本番さながらのステージで演じられたそうです。
ステージへ行ってみて感動!
凄い!ステージが出来上がってる‼️
しかも。まだ作り上げておられました。
本当に粋な計らいです。
中止なのにステージを仕上げてくれて、しかもマイクもみんな付けて、本番さながらの無観客の上演をさせてくれるなんて。
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「八戸」を合わせると言うことで、準備を始めました。
こちらとしては、「磐戸」の大きな榊を取って来て、シデも頑張ってつくったので、「磐戸」も出来たらしたいと伝えました。
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スサノオが、能の衣装をつけるのに、少し時間があり、みんなで記念撮影
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スサノオも出来上がりました。
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そして、能の謡いの方々もスタンバイされて、本番のように幕が降ります。
ブザーが鳴り、幕が開きました。
無観客の舞台の始まりです。
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スサノオが登場し、迫力ある何人もの謡いに合わせて能の動きをする場面ては、神楽の方の奏楽、また謡いながら涙する人もいました。
感動の「八戸」が終わると、スタッフの拍手が聞こえてきて、心に染みました。
日舞えて、本当に良かったと思いました、
舞台袖で能楽の方々と言葉を交わします。
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時間はもうお昼時でした。
これで終わるか、もう一演目やるかを話し合います。
もちろん、このまま「磐戸」するでしょ😁
すぐに着替えます。
本番の着替えも15分の休憩の間に次の演目の準備をします。
結構バタバタです。
マイクチェックもあります。
奏楽もスタンバイ
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照明が暗くなり、磐戸が閉ざされた暗闇の世界を作り出しています。
思金命(おみいがねのみこと)が登場します。
本当は子どもたちが「おもいがねのみこと~!」って呼ぶんてすけどね。
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思金命に呼ばれて、次々神様が集まり、磐戸を開ける相談をします。
最後に天宇受売命(あめのうずめのみこと)が、舞を舞い、天照大神(あまてらすおおみかみ)を呼び出す所で、能の謡いで舞います。
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神がかる、とても重要な舞です。
磐戸を天照大神が少し開け、覗きます。
そこを力持ちの手力男命が出てきて磐戸をこじ開けます。
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みんなそれぞれに力一杯舞いました。
謡いをされたみなさんからの拍手が聞こえて来ました。
どこで謡っておられたのだろう?

舞台の上で、また延期の時の再開を誓い合います。
方付けをし、荷物を全て積込み、玄関で見送っていただきました。
しばらくは安田先生ともお会い出来ないなと思うと寂しい思いでした。
神楽会館で、延期に向けて乾杯!
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